崇めよ我は全知無能なり

※現無職なので遠くない未来に失踪します

私は今から鬼滅の刃をディスります

この世に数多と存在する、鬼滅ファンたちに謝りたいことがある。
ごめん。
全巻読んだが、俺は楽しめなかった。
何で面白いと感じられなかったか? ということを記事にして纏められるぐらい、この漫画には作品としての――というよりも週刊少年ジャンプが長らく抱えている問題点を露わにしているものに思えた。
この作品のクオリティは決して低いものではなく、むしろ高いものだと認識しているが――ひとつだけ言わせて欲しい。
数年後には、この作品は忘れ去られているだろう。

こんな零細ブログにコメントが集中することはないだろうが、
「何でだよ! 何が面白くなかったんだよ!」
的なコメントがもし来たならば、それについてはきっちりとした文章にして語らせて頂こうと思う。

  俺はかつてこう語った。だからそれに対しての回答をしたいと思う。

  個人的に低評価。
 人気作品だからって騒がれ過ぎだろという捻くれた理由でディスっているわけではなく、マジで低評価
 面白くないというよりも、悪い意味でジャンプらしい作風だと感じてしまった。
 先に良かった点を挙げる。

・評価ポイント
1,キャラクターデザイン。
 画力は正直高くないが、それは進撃の巨人や脳嚙ネウロにも言えること。評価を下げる要因にはならない。
 禰豆子のデザインは『一回見たら一発で覚えられる』ぐらい秀逸だと断言出来る。善逸やしのぶも同様。キャラデザが良ければ鬼滅の刃を読んでない人間にも『何かこのキャラ見たことある』と購買欲をそそることが可能であり、必然的に読者が増える。そこを抑えていることに関しては好感が持てる。

2,個々のシーンのインパクトの強さ
 有名な鬼舞辻無惨のパワハラやサイコロステーキ先輩の惨殺シーンなど、印象に残りやすい描写が散りばめられている。これを見た読者はネットミーム的なものを拡散するようになり、やはり購買層の拡張に繋がる。無論、私もこれらを見て『意外と面白そう』という理由で手に取った。そして――

・悪かった点
1,ストーリーが単調。
 上記の評価ポイント”個々のシーンのインパクトの強さ”が読み始めた後に悪印象へと変わってしまう。”主人公の妹が鬼にされてしまい、その治療のために鬼と戦う”というコンセプトはいいが、鬼側も一種のマイノリティの筈であり、悪役側の心理描写や葛藤が足りないように思えた。ワ〇ピース的な暑苦しい友情の押し売りとはまた違い、個々のキャラの心情の薄っぺらさを感じてしまう。
 心理描写の深堀りが欠落すると、おのずとストーリーが単調になる。「鬼が出た、倒す、次の鬼が出た、倒す、また次の鬼……」という展開の連続が多く見られた節がある。
 

2,キャラクターの心理表現の薄さ。
 ほぼ上記で述べているので、鬼滅の刃ではなく他の漫画を引き合いに出す。例えばトライガンの主人公のヴァッシュは典型的な不殺系主人公で、ラブ&ピースをモットーとする。傍目から見ると「今さらラブ&ピースとか、しょっぱい言葉をよく恥ずかしげもなく言えるな?」と思われるかもしれないが、読み込んでいくとヴァッシュのあまりに深すぎる過去が表出していき、最後まで読み切る頃には男泣きを禁じ得なくなる。
 また、ジョジョ荒木飛呂彦氏はキャラクターを作る際にその人物の履歴書を製作すると仰っていたが、一見どうでもいい設定を事細やかに考え尽くすことでディティールに深みが産まれる。
 氏は「吉良吉影は母親から心理的な虐待を受けており、父親はそれで過保護になっているという設定を盛り込もうとしたが、少年誌的に殺人鬼への同情心が過剰に強まってしまうことを懸念して裏設定レベルに留めた」とも言っているが、これぐらい考え込まないと良いキャラクターは産まれない。
 見えない細部にこそ、魂と神が宿るのだ。

※総評
 ディ〇ニーのア〇雪もそうだったが、良くも悪くもネットを前提としたミーム感染的な宣伝方法は優れていた。しかし肝心の物語がその面白さに見合ったものではなかった、という感が否めない。

 つまり上記の『良かった点』が、『悪かった点』の印象を結果的に引き立ててしまっている。

 「鬼滅の刃嫌い! タヒね!」というようなアンチ特有の一方的な生理的嫌悪ではなく、「これ……面白いか?」という落胆を感じてしまった作品。
 正直、読んで後悔したというより、悲しかった。

 もう少し加筆したいが、申し訳ないが年末なので普通に忙しい。
 一旦締め括らせてもらう。草稿をさらに重ねたい。


 

鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 

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