崇めよ我は全知無能なり

※現無職なので遠くない未来に失踪します

グッバイ・シャンティ~サパーンレックの逆襲~

“Good-by Shantae, Sapanlek's Revenge”

シャンティの名前を出すと、gaijin殿が反応して頂けるようで。

でも……日本語は読めないだろ?

それでもいいんだ。Spiritとやらは伝わってんだろ? 多分。

 

今回は、前回記事に出していた――”サパーンレック”の話をさせて頂こう。
これはヤワラート(バンコクの中華街)のオンアン運河の上に不法占拠していた住民たちが勝手につくり出した電脳街の闇市のようなもので、海賊版のゲームやDVDを主に販売していた。ほとんどがコピー品。だが正規品も紛れており、任天堂プレイステーション等の最新機器も当たり前のように置いている。何故かコモドール64やアタリ2600すらも売られていた。本当にどこから仕入れてきたのか……。
電脳街とはまさにこのことか、と思い知らされた。ウィリアム・ギブスンの“記憶屋ジョニィ”に出てくるローテクたちの住処のように混沌・猥雑を極め、至るところに劣化した電線が張り巡らされていた。しかも運河の上に在るので、藻類で濁った川水の独特の臭気が立ち込めている。そして愛想の悪い店主たちに「これくれ」と言うと「はい」みたいな感じで売ってくれる。
魔窟だった。本当に面白かった。
しかし大変申し訳ないが、自分は当時のサパーンレックの写真を残せていない。こんな所で謎の日本人のクソガキが無断撮影をしまくっていたら、殺されはしないだろうが確実に摘まみ出される。しかもサパーンレックは2015年を以て強制退去を命じられた。実際2018年にタイに立ち寄った時は完全に跡も形もなくなっていた。

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最早ヤワラートの写真しか残されていない。もしサパーンレックに興味のある方は、2000年代~2013年代ぐらいにアップされている動画等のコンテンツを探して欲しい。



一応、メガプラザという新しいゲーム市場が新設されたと聞くが……行っていない。
何故かって?
あの時は……ゲームじゃなくて“春”を買いに行きましたから……。
ソイ・カウボーイ……ナナ・プラザ……。
その話は、また今度ね。

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そりゃあこんな場所に居たら、春だって買いたくなるでしょうよ。



バンコク居住時代、このサパーンレックは大変お世話になった。親父殿にタイに連行されたばかりの頃、自分は何と新宿なら月50~60万するような3LDKぐらいの高級タワーマンションで暮らしていた。バンコクならば15万ぐらいで借りられてしまうからだ。
広い窓から夜景を眺めていると、この世の覇者のような気がしてくる。
ただ……マジでやることがない。
楽しみといえば山のように抱えて持ってきた本を読むのと、街の散策ぐらいだ。スクンビットバンコクの中心街、日本でいうところの新宿のようなところ)を歩き回るのも飽きてきてきたなか、発見したのがこのサパーンレック。見ているだけでも非常に刺激的だった上、レトロゲームぐらいだったら投げ売り価格で売ってくれる。
そして――ある小売店で、籠のなかに大量のGBCソフトが詰め込まれていた。
面白そうなゲームを適当に掴み取りし、30バーツぐらい払って帰った。


そう、その中に前回記事で紹介した“シャンティ”が含まれていたのである。


一緒に買った他のゲームは、起動しなかったり、一面以降ステージを進めるとフリーズしたりする中華製のクソゲーしかなかったが……シャンティはドハマりした。


神ゲーじゃん!

何で日本で売らなかったの、これ?


その理由は前回記事で記載したので、お読みになってください。
しかし、居住しているマンションで公然とゲームするわけにはいかなかった。
親父殿は本、映画、音楽を鑑賞することは許してくれていた。
ただし“ゲームをすること”だけは徹底的に許してくれなかった。
そもそも親父殿はやや旧弊な人で、状況次第で星一徹的な“教育指導”を行うことがあった。虐待……とまで言ってしまうと流石に言い過ぎだが、殴るときは殴った。
それでもって、機嫌の良し悪しも変わりやすい。商談が上手く行ったときはほろ酔い気分で鼻歌を歌いながら帰ってくる。逆に上手く行かなかったときは完全無欠の怒り上戸と化し、あらゆるものを破壊、破壊、破壊し尽す。


目の前にシヴァ神がいるぞ!

破壊はあっても再生はないけどね!

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女神転生ではお世話になりました。


まあ、子供心に自分の父親が目の前で怒り散らしているところを見るのは気分のいいものではない。毎日くじ引きを引いているような感じだった。

今夜の御父上殿の気分はどっちでしょーか? みたいな。
ともかくゲームボーイカラーだろうと、見つかれば破壊されるのは確実だった。自分も徹底的に隠し場所を探し出し、“キッチンの換気口の裏側”に袋詰めにしたGBCとシャンティを仕込み続けていた。親父殿は自炊が出来ないのでまずキッチンを使うという行為をしない。だが酒は呑むので、キッチン上段の棚からジョニーウォーカーバランタインを取り出そうとするたびにヒヤヒヤして堪らなかった。
お前はヤクでも隠しているのか?
違います、ゲームをしたいだけなんです。

が……俺は過ちを犯してしまった。
あの……過ちが、過ちが、なければ……
あの……過ち……が……

……。
あの……すいません。
これ、三部構成にします。

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提督です。すいません。開国(ローカライズ)しやがれ。