崇めよ我は全知無能なり

※現無職なので遠くない未来に失踪します

インドで楽しい監禁生活~ビザ審査をぶち壊せ~

鍋じゃないからな。
”禍”だからな。
”禍々しい”とかいう言葉があるだろ。
このブログ、海外での話を基本的に書くと最初に提言したのだが、
自分はこの禍々しい”コロナ禍”という奴の関係で、
「いやー……ロクに飛行機にも乗れないのに海外渡航期とか書くのもなぁ……」
とやる気が削がれていた。
各国でも”stay home”と騒がれている。アベノマスク政策では近所のスーパーに行くだけでも感染のリスク塗れだ。そのような状況で、行けもしない海外の話をされてもウンザリされるだけだろ、と思っていたが、
「逆に監禁された話なら、渡航とかそういう問題じゃないから別にいいんじゃね……?」
という謎の発想に至った。
homeじゃないしな。”stay jail”だしな。
いやjailは語弊があるわ。別に俺罪人じゃねーし。
彼らも不当に俺を拘束していたわけじゃねーし。
"stay wake-ga-wakaranai room"だな。
それに、どうせインドの地方空港とか機能してねえだろうし、
彼らにとっては”あの時の俺”よりも、コロナの方がわけがわからないだろ。
彼らの目を盗むつもりはないが、この話をしよう。
それでは……
Fear and Loathing in Visa screening!!!!

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霞んで見える? コンプライアンス上の問題です。

昨年(2019)の十一月末、俺はある女性とインド旅行に行く予定になっていた。
それも半年ぐらい前から計画を立てていた。
楽しみだね、早く行きたいねと言われ続けていたし、俺もその気持ちではあったが……
インド出発一週間前ぐらいから、まったく楽しみではなくなった
理由はいたく簡単で、出発日がもう数日前だというのに、
Visa申請、落ちました。
彼女の方は当たり前のようにVisa通ったんですが、
俺だけVisa、落ちました。
これ、地味に異常事態です。
そもそも日本国籍のパスポートは渡航上においてはかなり信頼度が高く、これを持っているだけで多くの国をVisa無しで入国出来る。

www.henleypassportindex.com

このURL、とどのつまり”渡航時にVisa不要の国が多い国籍のパスポートランキング”だが――2020年四月において一位が日本、二位が大韓民国となっている。
そのため渡航にVisaが必要だという感覚が日本人は薄い。ただしインドのような”現在も印パ戦争中”といった国は流石にVisaの提出を求めてくる。
とはいえ、そこはインドクオリティ。

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このネット申請のE-Visaという奴を使うのだが、証明写真はスマホの自撮りでOK、仕事欄も一番自分に近い仕事を適当に選べばOK。

まず落とされるわけがない。
そして申請完了後、インド政府は上記画像のように、
Welcome To India!!!!”と言ってくれる筈なのだが、
俺はWelcomeしてもらえなかった。
その理由は――恐らくだがひとつしか考えられない。
仕事欄の項目にはoccupation(会社員)とかstudent(学生)とか色々あるのだが、
none(無職)とかothers(その他)などもある。
この時点で俺は既に無職だったので、
ここは素直に”無職”と選ぶべきだった。
ただしその時の俺は、
「いや……無職ってちょっと怪しくねーか……? んでもって、その他? もっとやべー奴にしか見えねえだろ……」
と考えた後、
過去に勤めたことがあるので”publisher(出版業者・出版関係者)”を選んだ。
これが仇となった。
publisherという言葉には、ジャーナリストという意味も付随する
国家間の渡航で最も嫌われる仕事はジャーナリストだと言っていい。他の国の見知らぬ誰かが自国の”何か”を暴きに来たんじゃないか? と入国管理局が警戒する。
そしてその時は気付いていなかったが――俺はもうひとつ大きなミスを犯していた。
よくよく考えみろ。
インドって無職のバックパッカーばっかじゃねえか!!!!
物価が安いのをいいことにバラナシーとかでずるずると生活しながら謎のスピリチュアリズムに目覚めたり、
元KA〇-○UNのどっちかの”T”が所持していたアレとか、勝○太郎がパンツに仕込んでいたアレとかをキめこんでいる奴ばっかだろ!!!!

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大変申し訳ございませんが、浅学非才故に脱退前の”T”がどこのTをさすTであったかを判断することが出来かねました。関係のない方のT氏には深くお詫び申し上げます。後この話はフィクションです。

……飛行機に乗る時はパンツを履かないようにしよう。
ん? だからフィクションだって。
もうひとつ思うのは、もし自分がテロリストやスパイだったとして――
Visaの仕事欄に無職って書く?
その他って書く?
無職はまだしも、”その他”って、かなり範囲が広いぞ?
テロリストやスパイだけじゃない。それこそ麻薬王死の商人砂漠の狐モロッコの恐怖アオジロ(後に筋肉マン)天草四郎の生まれ変わり這い寄る混沌四十のレギオンを従えし大侯爵小籠包みだりに口にしてはいけない四文字ゆうていみやおうきむこうほりいゆうじとりやまあきらぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺ……
これらすべてが”その他”に当てはまる!
……どう考えても俺の英語力では、「私は”もょもと”です。勇者です。ぺぺぺぺ」と伝えられるわけがなかった。
publisherの方が安定だろう、そう思った。
で、落ちた。
落ちました。
はい。
ジャーナリストとは危険な仕事だ。取材箇所によっては何らかの組織――それも国家にでさえ拘束されてしまうなんぞ良くあることだ。
仮にでもpublisherとして働いていたことのある自分が、何故そう書いてしまったのか。
後悔は先に立たず。
Visa落ちした後もどんどん出国日が迫って来る。
大使館にも行ったが、再申請するには最早間に合わない。
そこで”Arrival Visa”というものを使って入国することにした。
このArrival Visaについては次回詳しく説明するが、簡単に言えば”Visa申請が出来ていなくても現地でVisaを製作してくれる”という制度だ。
それに、すべてを賭けることにした。
とりあえず、今日はここまで。

……。
ここから先は、あの時――つまり出国前までの自分の心境だ。
一応書いちまうがただの自分語りなので、本来はここでこのページからバックして貰った方が嬉しいような気もする。
Visa落ち後、状況は好転しなかった。
それでも渡航日は後三日、二日、明日と迫って来る。
彼女は「大丈夫だよ! きっと入国出来るよ!」と励ましてくれた。
インド渡航歴が長い友人も色々と入れ知恵もしてくれた。
その他、多数の人がこの”インドVisaに落ちている異常な日本人”を応援してくれた。
「ああ、皆優しいなぁ……本当優しいなぁ……」と感慨に耽りながらも、
精神面が残念過ぎる俺は最初のVisa落ち案件で既にバキバキに心が折れており
浴びるほどの酒を呑みながら、
恐怖と不安をどうにか抑え込もうとしながら、
何故かラスベガスをやっつけろ(Fear and Loathing in Las Vegas)”を毎日十数回ぐらい鑑賞し続けていた

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自分は一人旅はそれなりにこなしているが、二人旅の経験はあまりない。
中国・東南アジアに限定するなら、洒落にはならない回数の渡航を繰り返してきた。
そんな自分が出した答え――というか本音は、
「今インドに行くべきじゃない、止めておけ」
一人旅なら、この段階で諦めてもよかった。
だが、これは二人旅だ。
インドという国は優しく寛容でもあるが、宗教上の理由で男尊女卑が厳しい。下手に出歩いて強姦されたという話は何度も聞いている。
流石に女性を一人で行かせる訳には――
「もうこれは止められないんだ、受け入れるしかない」
という感覚と、
「それでもこの映画のジョニー・デップベニチオ・デル・トロみてえな珍道中はやってみたいよなぁ、いっつも一人で色々行ってきたが、今回は……」
という憧憬で頭がおかしくなりそうになっていた。
今思えば、半端者だったのだ。
その”半端さ”を拭えないまま、いよいよ出立当日になり、
本来家から出る筈の時間の、本当の本当にギリギリになるまで、
俺は外に出れなかった。



あー……
出国する前からこの文量かよ。
これ、何部作になるんすかね?